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TARO KONDO
IN ITALY & PORTUGAL

その土地の空気や匂い、そこで暮らす人々、そして季節の移ろい。切り取られた街の物語に、それぞれの“旅するバッグ”がそっと寄り添う。世界のどこかで過ごした、旅の記憶を綴るジャーナル『SOMEWHERE』。
第6回は、ファッションPR・ワインショップオーナーのTaro Kondoさんが巡る、イタリアとポルトガルの旅。

造り手の想いを訪ねて、南イタリアへ

PR業をはじめ、ディレクションやクリエイティブなど、多岐にわたる分野で活躍するTaro Kondoさん。2023年には、ナチュラルワインのケータリングプロダクション「hebeerryk!(ヘベレケ)」を始動。そして2025年には、東京・幡ヶ谷でワインショップ&バー「hebeerryk! wineshop(ヘベレケワインショップ)」をオープン。2013年から、相棒のヤーコさんとともに、ワインの生産者を訪ねる旅を続けている。

南イタリアの穏やかな田園風景に広がるブドウ畑。 

「ワインってちょっと敷居が高いイメージがありませんか。もっと身近に感じてもらうためにも、自分たちがものづくりの背景を知ることが大切だなって。実際に生産者を訪ねると、人柄やその暮らしから味わいの理由が見えてきます。幸せそうな家族が造るワインには温かな空気感が表れていたり、個性的なワインを造る人が、実はとても穏やかな暮らしをしていたり。そんな発見があると、お客さまに伝えられることも増えるし、安心してワインを選んでいただけると思うんです」

 

写真上)収穫したブドウの選果作業をお手伝い。
写真中)南イタリアの伝統的な家屋、トゥルッリに宿泊。
写真下)ワイン生産者のもとで、さまざまなワインを試飲させていただく。
 
ワインを通して、その土地の風土や造り手の暮らしに触れる。
今回の旅では、アブルッツォ、プーリア、カンパーニャ周辺を巡り、7つのワイン生産者を訪ねた。

 
ワイン生産者と過ごす、和やかなひととき。
 
 「2024年に訪れたシチリアがすごく良かったので、今回も南の地域を巡ることにしました。南イタリアはどこかのんびりしていて、食事も日本人の口に合う気がします。アブルッツォやプーリアは海に面していて、内陸とは食文化がずいぶん違うんです。内陸では生ハム、チーズ、パスタ、肉などが中心ですが、海沿いではシーフードが楽しめる。プーリアでは前菜に何皿もの野菜料理が並ぶこともあって。新鮮な食材を味わえる南イタリアの食事は、体にも負担が少ない感じがして、とっても美味しく、すごく気に入りました」
 

写真上)世界遺産の街、マテラにも足を延ばす。
写真中)アブルッツォで訪れたレストラン「Osteria del Mare」。
写真下)南イタリアでは新鮮なシーフードも楽しみのひとつ。
 

旅を豊かにする、朝の光と夕暮れの一杯


旅先での景色もまた、その土地を知る楽しみのひとつ。Taroさんには、旅の一日を彩るささやかな習慣がある。
 
「旅先では朝日を見ることをルーティンにしています。自然と早起きもできるし、心地よい一日のスタートが切れる気がして。なかでも、ポリニャーノ・ア・マーレのビーチから見た朝日は絶景でしたね。その後、名物のカフェ・スペチアーレを飲んで、グラニータも楽しみました。イタリアといえばジェラートが人気ですが、私のおすすめは断然グラニータ。日本ではなかなか食べられないし、本当においしいのでみんなに食べてほしい! 一方、ヤーコは夕日を見るのが好きなので、一緒にサンセットを眺めながら、アペロールスプリッツを毎日のように飲んでいましたね」
 

 

写真上)旅先では、早起きして朝日を見るのが日課。
写真中)コーヒーとアーモンドのグラニータに生クリームをトッピング。
写真下)ポリニャーノ・ア・マーレの幻想的な夜のビーチ。

 

南イタリアでの2週間を経て、旅は次の目的地へ。少しだけ仕事から離れ、休暇を楽しもうと向かったのはポルトガル。
 
「ポルトガルでは、ポルトとリスボン、2つの街を訪れました。せっかくならポルトガルワインも飲んでみたかったんです。イタリアとはまた雰囲気が違って、街全体がデザインされているというか、どこか洗練された空気を感じました。建物や料理など、昔からの伝統を大切にしているイタリアに対して、ポルトガルはいろいろな文化を柔軟に取り入れている印象で。その違いが面白かったですね」
 

写真上)ポルトにある人気のナチュラルワインバー「Plumas & Flore」。
写真中)鮮やかなブルーの外壁が印象的なリスボンのカフェ。
写真下)ポルトガルの名物料理、イワシのグリル。

 

訪れた街へのリスペクトを装いに込めて


街を歩き、そこに暮らす人々の感性に触れる。Taroさんにとって、現地での買い物もまた、その土地を知る楽しみのひとつだ。
 
「日本でも買えるようなものも、あえて旅先で買うようにしているんです。例えば、ポルトのヴィンテージマーケットで買ったアクセサリーは、お店の人に相談しながら選んだ思い出のもの。『I LOVE ROMA』Tシャツも買いました。現地で買ったものを、その街で身につけることが、私なりの土地へのリスペクトなんです」
 


写真上)プーリアで購入したレザーのキーホルダー。
写真中)ポルトにある「トベ・アトリエ」で出会ったネックレス。
写真下)旅の手元。一番上のブレスレットはイスキアで、ハートのリングはポルトのマーケットで購入。

 

訪れた街で、その土地らしいものを身につける。そんなTaroさんの旅の美学は、日本から連れてきたバッグ選びにも表れていた。今回のお供に選んだのは、レモンの刺繍があしらわれた巾着型バッグ“POCKETY(ポケッティ)”。
 
「南イタリアはレモンの産地としても知られているので、こういうモチーフのバッグを持って食事に出かけるのもいいなと思って。そして、旅のメインバッグとして活躍したのが“TANK(タンク)”。機内持ち込みにもちょうどいいサイズでした。今回はオーバーオールにTシャツといったラフな格好が多かったんですが、これひとつ合わせるだけでぐっとおしゃれに見えるんです。どこに行っても『I love the bag!』『I love your style!』って褒められましたね」
 

写真上)バリで購入した柄シャツと“POCKETY”がよく似合う。
写真中)日焼け止めなどを入れてプールサイドにも。
写真下)ポルトガルの街歩きにも”TANK“は活躍。

 

旅の記憶が、新たなインスピレーションソースに


その土地の空気を感じながら、装いも自由に楽しむ。一見、気の向くままに旅をしているようでいて、実はその裏には入念な準備がある。Taroさんは、自身をかなりの計画派だと語る。
 
「事前のリサーチは徹底的にやりますね。気になるお店を地図にどんどんピン留めして、絶対に行きたいところは予約しておく。ただ、現地の人に教えてもらったお店に行ったり、その日の気分で行き先を決めたりできるよう、必ず余白も残しておきます。そもそも事前に調べるのは、宿泊先をどのエリアに取るか決めるためでもあって。私は朝、おいしいコーヒーを飲みたいので、気になるコーヒーショップの近くに泊まることが多いんです。おしゃれなコーヒーショップの人は、おいしいワインバーも知っていたりするので」
 

 

写真上)ドーム天井が素敵なプーリアのホテル。
写真中)ポルトのAirbnbは、洗練されたインテリアが魅力。
写真下)宿泊先の近くにあったカフェ「bicho」。

 

人との交流、美しい景色、おいしい食べ物。旅先で心に残った一つひとつが、やがて新たなアイデアとなり、日々のクリエーションへとつながっていく。
 
「今回買った『I LOVE ROMA』のTシャツから着想を得て、お店の1周年に向けて『YOU LOVE hebeerryk!』というロゴのTシャツを作ったり、イタリアで毎日のように飲んでいたアペロールスプリッツを自分たちらしくアレンジして、『ナトゥラーレスプリッツ』としてお店で販売したり。ヘベレケで扱うものには、すべてストーリーがある。旅をするたびに新しいものが増えて、お店も少しずつアップデートしていく。そんな場所にしていきたいですね」

 


写真上)ローマで購入し、着用していた「I LOVE ROMA」Tシャツ。
写真中)毎日のように飲んでいたアペロール・スプリッツ。
写真下)ヘベレケにも植えたいと考えているイチジクの木。

 

旅先で出合ったものが、新たなかたちとなって日常に息づいていく。次にTaroさんが思いを馳せるのは、どんな場所なのだろう。
 
「今、一番行きたいのはジョージア。ワイン発祥の地といわれていて、壺(アンフォラ)を使った伝統的なワイン造りでも知られています。アジアとヨーロッパの文化が交わる土地なので、食文化にも興味がありますね」
 
知らない土地での出会いや、思いがけない出来事。その一つひとつを楽しむために、Taroさんが大切にしていることがある。
 
「旅先では、日本にいるときよりもちょっと大胆になってもいいと思うんです。恥ずかしがらずに笑顔で挨拶すれば、相手も笑顔で返してくれるし、人にも街にも心を開いていたほうが、きっと楽しい旅になる。もちろん危機管理は大切ですが、せっかく旅に出るなら、いつもより少しオープンな気持ちで楽しんでほしいですね」